Analog Devices Q3 FY22 決算とアナログ半導体市況

スポンサーリンク

お世話になっております。皆さまいかがお過ごしでしょうか?私は風邪をひきました。

前回、下記のようなブログ記事を投稿しました。

2022年CQ3の半導体市況につきまして
お世話になっております。ご無沙汰しております。色々ございまして、久々の更新となってしまいました。皆さまお元気でしょうか。 最近、Twitterをやめたんですけども、こちらのブログの方はどうしようか迷いまして、迷った結果残すことにしまし...

簡単に言うと、Micron(マイクロン/$MU)という汎用メモリ大手半導体メーカーの決算に注目して
『スマホやPCの需要が減速しており、メモリ半導体などはダウントレンドに入ってるようです』

と言ったことを書きましたが、一方でルネサスエレクトロニクスの決算コメントなども見て
『車載や産業機械などといった分野に使われる半導体はまだまだひっ迫が続いているようです』

といったことを書きました。

大枠ではやはりその通りのようで、例えばEE Timesに掲載されていた大山氏の主要半導体メーカーの決算コメントから今後を見通すという記事でも同じようなことが書かれています。

PCとスマホの需要見通しが下がっていること、デバイス別ではメモリ市場の落ち込みが大きくなりつつあることなどについて書かせていただいた。しかし、筆者が日ごろ、接点を持っている日本の業界関係者と話していると、潮目の変化があまり感じられない、というコメントが多い。そうした関係者の多くは、車載機器や産業機器など比較的需要の堅調なアプリケーションとの関わりが強く、PCやスマホ市場が下振れても関係ない、というところだろう。

引用 – EE Times 主要半導体メーカーの決算コメントから今後を見通す

詳しくはリンク先の記事を見て頂きたいですが、簡単に予約すると

・世界の半導体市場はこれまでの右肩上がりの需要から一転、ダウントレンドに入りつつある
・スマホとPC需要の減速が主な要因、それによりこれらの2大市場に依存が多い汎用メモリやロジック半導体の需要にブレーキがかかっている
・インテルは4-6月期赤字、PC向けシェア下落とサーバーむけプロセッサのリリース遅れなどが重なり市場平均よりも業績の下落率がひどい
・半導体3大市場のうちスマホとPCは減速しているが、サーバーの需要はまだ強い模様。特にサムスンがサーバー需要に強気
・AMD/Qualcommはそれぞれインテルからシェアを奪っている事と単価の高い5G向けSoCが好調なので市場の需要は減速していても、業績は続伸している
・TSMCは5nm/7nmの先端プロセスが売上の半分以上を占める、しかしスマホとPCが減速していることから設備投資の減額を発表している
ということです。ただ、上記で出てくる半導体メーカーはどれもロジック半導体とメモリ半導体をメインとしており、主にスマホ・PC・サーバーといった分野が主戦場です。
それでは“車載機器や産業機器など比較的需要の堅調なアプリケーション”と呼ばれるこれらの分野の市況はどうなのか?ということで今回はアナログ半導体売上ベースで世界二位のAnalog DevicesのQ3決算のコメントなどを見ていきたいと思います。
スポンサーリンク

Analog Devices (ADI) Q3 FY22 Earnings

ADI社の決算資料によりますとQ3(5月ー7月期)の決算は下記のようになっております。

・売上 $3.1B QoQ +4.5% / YoY +77%
*Q4 21より買収したMaxim Integrated分加算されている
*1年前のMaximの売上を加味するとYoY +24%成長とのこと (Earnings Callより)
・non-GAAP 粗利率 74.2% QoQ -0.1ppt / YoY +3.3ppt
・non-GAAP OP率 50.1% QoQ -0.02ppt / YoY +6.5ppt
・Adjusted EPS $2.52 QoQ +4.7% / YoY +47%
Analog Devicesの特徴として下記が挙げられます。
・主力製品がアナログIC、ミックスドシグナル、DSP、パワーマネジメントなどの製品であること
・エンドマーケット別では産業機械が売上の約50%、車載が約21%を占めており、スマホなどのコミュニケーションとコンスマー市場はそれぞれ16%と13%にとどまっている事(半導体市場のエンド市場比重と逆)
スクリーンショット https://investor.analog.com/static-files/a81d45b4-c89f-482a-86c2-c219af5b690e より

Q4 (8月ー9月期) Outlook

ADIによりますとQ4の業績見込みは下記のようになっています。

・売上 $3.15B±100M QoQ +1.6% / YoY +34%
・調整後営業利益率 50.3% ±0.7ppt
・調整後EPS $2.57 ±$0.1

ADI決算コメントPick Up

続いて、ADIによる決算コメントを見ていきます。時間と分量の都合上、すべてEarnings Call Transcriptから重要なポイントの原文を抜粋し、その要約を日本語で纏めていきます。

受注額は過去最高を更新するものの、減速がみられる。キャンセルも散見される。

・受注額は過去最高額を更新し2023年中盤まで注文が埋まっている
・しかし、今期後半から受注に減速がみられておりBBレシオ(当月の出荷額に対する受注額の割合、1を超えると受注が出荷を上回るので見通しが良い)は前Qからダウンしたもののまだ1を超えている水準
・ADIの売上の7割を占める産業機械、車載市場の需要はまだ強い
・一方でコンスマーや通信は軟化している
・特定の市場や地域に限らずキャンセルの数も増加している
Now before we move to the outlook, I want to provide some additional details around demand. In third quarter, our order book remained strong and backlog increased to a new record, stretching well into mid-2023. However, orders moderated later in the quarter, and as a result, book-to-bill was down from a quarter ago but still well above 1. By market, we are seeing strength persist in both Industrial and Automotive, which together represent over 2/3 of our sales, while Consumer and comms were a bit softer. We also saw a modest increase in cancellations and was not specific to any end market or geography

価格下落の懸念はしていない

・マクロ経済的な不確実性が受注を軟化させ始めたが、ADI(の価格力は)極めて安定している
・経済後退の懸念がある中でも値下げのプレッシャーを受けることは無いだろう
we are very aware of the macro environment and a bit more softening in order activity that we saw towards the tail end of the quarter. So that’s why we kind of held back a little bit on the guide to ensure that if this order softness does continue, we’re not disappointing… Yes, so I think first and foremost, we are seeing tremendous stability. I don’t expect to see any downward pressure on prices even in a recessionary environment.

産機と車載が強く、中国のコンスマー市場が弱い

・Q3は全市場セグメント(Industrial, Auto, Communication, Consumer)においてQ/Q売上成長を達成しY/Y売上2桁成長を達成した
・唯一弱い市場を特定するとするならば、中国のコンスマーマーケットである(ただしADIの依存は極めて少ない)
・受注額も最高額を更新したが、強いのはIndustrialとAuto、CommunicationとConsumerは軟化
・キャンセルの量は”まぁまぁ(Modest)”増えた

Third quarter results, where we’re clearly broad-based strength, all end markets were up quarter-over-quarter and double digits year-over-year, so our sixth consecutive record. The only geography/market that was down year-over-year was China consumer. But that’s a very small exposure for ADI, low — very low single digits as a percentage of revenue. From a bookings health standpoint for the third quarter, orders were up. Again, as I mentioned, strongest trends were Industrial and Auto, which represent about 70% of the business. Comms and Consumer weaker, but again, we increased our backlog to another record, another new all-time high, and that covers us well into ’23. Where we saw that change in demand was really cancellations ticked modestly higher, and I do say modestly. It is — we want to be fully transparent on this call, so we’re calling out but I wouldn’t really put too much focus on the cancellation number.
大まかな流れが分かる部分はこの辺でしょうか。やはりいろいろな記事に書かれている通り、インフレなどを起因とした経済減速がみられており特にシクリカル性の高いスマホや家電市場が減速しているようです。
一方で、ADI社に限ると、売上の大部分を産業機械や車載が占めており、これらの市場の需要はまだまだ強いため、他の半導体メーカーの業績に見られる影響とはまた異なる状況となっているようです。
Transcriptには在庫日数や代理店の在庫バッファ期間などに関する情報も言及されていましたが、細かすぎるのでここでは端折ります。興味がある方は見てみてください。
以上です、ありがとうございました。
タイトルとURLをコピーしました