2021年の車載半導体市場の振り返りと22年の見通しを解説

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お世話になっております。本記事では2021年の車載半導体市場の振り返りと2022年の車載半導体市場の見通しと注目動向について解説してまいりたいと思います。

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2021年の車載半導体市場の振り返り

まず、2021年の半導体市場は前年比成長率+25%、出荷額$550B(約60兆円)超えと歴史的な成長率と出荷額を記録した年となりました(参考 Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 25.1% in 2021, Exceeding $500 Billion For the First Time)。

2021年半導体メーカー売上ランキング
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また、IHS Markitによると2021年の車載半導体出荷額は約$50Bと2020年比で+26%の出荷額成長を記録し、車載半導体の出荷額としても過去最高となりましたが、一方で2021年の新車生産台数は2020年比約1400万台減の約7500万台であったと同調査会社は予想しています(参考 IHS Markit *英語、日本語のソースが見つからなかった故、リンク先記事はドイツ語です)。ただ、別の調査会社Omdiaによると21年の自動車生産台数はYoY +2.5%だったということです(それでも少ないですが)。

新車生産は伸び悩んだのに車載半導体市場は大幅拡大した

車載半導体の最終顧客である新車生産台数が伸び悩んだにも関わらず、車載半導体出荷額は+26%とを記録したということになりますが、IHS Markitは2021年の車載半導体市場の+26%の拡大の内訳を下記の3つの要因に分けて分析しています。

①半導体メーカーによる車載半導体の値上げの影響⇒+6%程度
②車1台当たりに使用される半導体搭載個数の増加⇒+12%~13%程度
③買い貯めによる需要の先取り⇒+7%~8%
以下、解説をいたします。

半導体メーカーによる車載半導体の値上げ

IHS Markitによりますと、2021年に車載半導体は10%~20%の値上げがされました。しかし、値上げ後の価格が実際に適用されたのは5月以降であった為、年間を通してみた場合、車載半導体出荷額増+26%のうち値上げによる影響の内訳は6%程度だったということです。

Wie viel Prozent des Umsatzzuwachses 2021 sind auf Preissteigerungen zurückzuführen, welchen Beitrag leistet der gestiegene Halbleiter-Content? Bouchaud: »Derzeit werden typischerweise Preissteigerungen zwischen 10 und 20 Prozent gemeldet.« Er fügt aber hinzu, dass diese Preissteigerungen sich erst seit Mai 2021 auf die Umsätze ausgewirkt haben, »sodass wir über das gesamte Jahr gerechnet von einer durchschnittlichen Preissteigerung in Höhe von 6 Prozent ausgehen«, erklärt Bouchaud weiter

(DeepL翻訳)
2021年の(車載半導体の)売上増加のうち、価格上昇の割合は?半導体の含有量増加の貢献度は?ブショー氏:”現在、10〜20%の値上げが一般的に報告されています。” ただし、これらの値上げが販売に影響を与えたのは2021年5月以降なので、「通年で平均6%の値上げを想定しています」とブショー氏はさらに説明する。
引用 – Halbleiter für Automotive bleiben knapp

半導体メーカーやTSMCなどの半導体ファウンダリによる半導体の値上げが行われたことは周知の事実です。

台湾TSMC、半導体最大20%値上げへ 最終製品にも影響
【台北=中村裕】半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が最大20%の値上げを実施することが、25日分かった。同日、台湾の顧客などに通知した。一度の値上げ幅としては、過去最大とされる。値上げ幅や時期などの詳細は企業によって異なるようだが、25日に通知を受けた一部企業では、値上げは即日実施とされたという。台湾大手の自由時...

その理由については下記の記事にて解説しています。

・ウェハなどの部材の値上げ
・供給増のために必要な投資資金を確保するため
・二重オーダーを防止するため
TSMCなど半導体ファウンドリの値上げは2022年も継続?
お世話になっております。 少し前の記事ではありますが、Counter Pointが"TSMC Price Hike Indicates Capacity Tightness to Persist in 2022, May Hit Sm...

そもそも、車載半導体は利益率が低いビジネスとして認識されています。半導体不足で半導体メーカー各社は増産のための投資が必要となったり、また部材の値上げや場合によっては半導体の生産を委託している半導体ファウンダリからの値上げの通知がなされたことにより収益性の改善のテコ入れが急務であった事が考えられます。

例として売り上げの30%以上を車載半導体が占めるST Microelectronics社の四半期ごとの事業部別営業利益率を見てみます。下記は2020年Q4の決算資料の抜粋です(出所 ST Microelectronics Q4 20 Earnings)。一番左のADGが車載半導体セグメントですが、2020年Q4時点での車載半導体事業部の営業利益率は10%未満(同時期の他事業部はそれぞれ30%と20%台)で、コロナ第一波により自動車の減産が相次いだQ1/Q2の車載半導体事業ほぼゼロに近い利益率水準となっていました。

一方で直近の2021年Q4の決算資料を見ますと、車載半導体事業の利益率が20%に迫る勢いと、大幅に改善していることがわかります(出所 ST Microelectronics Q4 2021 Financial Results)。なお、車載半導体売上もYoYで+28%ですので、概ね市場成長率に沿って成長がなされていることが分かりますね。

品種やメーカー毎の対応にもよりますが、車載半導体を含む半導体の値上げは収益性の維持、将来の安定供給など生産能力拡大の為にも不可欠であったと考えられます。

車1台当たりに使用される半導体搭載個数の増加

車一台あたりに使用される半導体の搭載量が増加したことも車載半導体の出荷額増の要因です。パワートレインの電動化に伴うパワー半導体の需要増やADASなどの進化によるロジック半導体などの需要増が背景にあります。これは純粋な車載半導体の需要増と解釈され、さらに言うと車の生産台数が減ってもそれを上回る一台当たりの搭載個数の成長があったからこそ、車載半導体市場の拡大となったという事でしょう。IHSによると、2021年の車載半導体市場の成長+26%のうち12-13%程度が一台当たりの搭載容量増による内訳だということです。

また、IC Insightsによると2021年に出荷された車載半導体は約524億個で2020年比の出荷個数はYoY +30%とすべての市場向けの半導体出荷個数成長+22%を上回ったとのことです(参考及び下記グラフソース The Real Reason Behind the Automotive Industry IC Shortage—A Step-Function Surge in Demand!)。

ただ値上に加えて出荷個数も+30%なのに市場成長が+26%というのはちょっと計算が合わないですね。調査会社の違いによる差なのか、それとも製品によっては値下げや置き換えによる価格差が発生したのか、、、それでも湯之上隆氏の記事「半導体不足」は本当か? クルマ大減産の怪でも2021年の車載半導体出荷個数が増加していることは指摘されていますので傾向としては間違いないのかなと思います。

兎に角、この一年で『半導体不足』というヘッドラインを毎日のように見てきましたが蓋を開けてみると、半導体の出荷個数は着実に増えているという事になります。つまるところ、半導体不足というのは『増え続ける半導体需要の加速に供給が追い付いていない』という事なのでしょう。

下記は Infineon Technologies社の決算資料で紹介されている自動車のタイプ別の平均半導体使用量の図解です。真ん中のグラフを見ると、金額ベースにはなりますが2021年の内燃エンジン車(ICE)では一台当たりの平均半導体コストは$490であったのに対し、PHEVやBEVでは$950と車両一台当たりの半導体需要は約二倍になっています。その多くはモーターのインバーターやオンボードチャージャー(OBC)、DC-DC、バッテリーマネジメントシステム(BMS)といったPHEV・BEVだからこそ需要が創出される新たな車載アプリケーションによるもので、パワー半導体やアナログ半導体が恩恵を受けます。さらに2021年の自動車生産台数こそ伸び悩みましたが、車載半導体が一台当たりより多く搭載されるBEVに限れば前年比+108%であったと報道されており、より車載半導体を使用するタイプの車に限れば生産台数が急増していたことがわかります(参考 2021年世界メーカー別EV販売台数ランキング:1位米テスラ、2位中BYD)。

車一台当たりの搭載個数が多い半導体の供給は増えにくい

さらに下記は半導体の製造プロセスごとの品種がそれぞれどのような車載半導体として1台当たり何個程度搭載されているかを示している図となります(画像ソース IHS Markit)。これによると、パワーマネジメントやBUSトランシーバー、RF、レーダー、ディスプレイドライバ、LEDドライバなどのいわゆるアナログ半導体が一台当たり100個以上使用されており300nm – 65nmのプロセスで製造されていることが分かります。そのほかにもパワートレインやブレーキなどのセーフティ、ナビなどのインフォテイメント、各種ボディ、ADASに搭載されるMicrocontroller(マイコン)も一台当たり15-80個搭載されており130nm-28nmのプロセスで製造されているとされています。一方で自動運転の要となる7nmや5nmのロジック半導体は一台当たり多くて2個、車両によっては搭載数がゼロです。

しかし、個数ベースでみた場合の車載半導体のスイートスポットである130nm – 40nmの製造プロセスが占める2022年の半導体の設備投資(CAPEX)は全体の15%にすぎず、半導体の設備投資の多くは28nm未満の製造プロセスに充てられています。もちろん、そもそも車載半導体市場は半導体市場全体の10%程度にすぎませんし、半導体の品種でみても市場の多くは先端プロセスを使う汎用メモリやロジック半導体が占めています。また先端プロセスであればるほど製造装置一台当たりの単価が跳ね上がります(例 EUV露光装置)ので単純にプロセスノードごとのCapexで区切って均衡不均衡を語ることはできないと思います。

それでも、現在の車載半導体の多くの需要を占め、またスマホやデータセンターなどでも需要が増えているRFフロントやパワーマネジメント、またコンタクトレス決済などコロナ禍で需要が加速したタイプのこれらの半導体は、供給する半導体メーカーの投資体力が比較的に弱かったり、そもそも製造装置が手に入らず結果的に供給が増えずらいという構造的な問題を抱えていることでも知られています。

買い貯めによる需要の先取り

最後に、買いだめによる需要の先取りが2021年の車載半導体市場の拡大のうち+7%~+8%程度の内訳だったとIHS Markitは分析しています。

 Woher stammen die restlichen 7 bis 8 Prozent? Bouchaud nennt für das restliche Wachstum mehrere Faktoren. Dazu gehört zum Beispiel der sogenannte »Toilettenpapiereffekt«, also wenn OEMs und Tier-Ones mehr bestellen, als sie aktuell benötigen, um sicherzustellen, dass sie die Teile, die sie brauchen, auch erhalten.

(DeepL翻訳)
残りの7〜8%はどこから来るのでしょうか?ブショー氏は、残りの成長の要因として、いくつかの点を挙げている。例えば、いわゆる「トイレットペーパー効果」、つまりOEMやティア1が必要な部品を確保するために現在必要な量よりも多く発注してしまうことなどが挙げられます。引用 – Halbleiter für Automotive bleiben knapp

関係ないですけど、買いだめを『トイレットペーパー効果』と言うのですね。確かコロナの初期のトイレットペーパー買いだめ騒動ではHamsterkauf(ハムスター買い)という表現を新聞などで見たと記憶してるんですけど…ドイツ語は本当に謎過ぎて全く興味ないです。

私自身半導体業界の末端で仕事をしていて思いますが、最近は何でもかんでも兎に角発注して買い溜めという雰囲気では無くなったと感じています。例えばアナログ半導体大手のTexas Instruments社のQ4決算発表時の説明会では『市場の需給環境は3か月前と変わらずリードタイムは安定(長期化が恒常化)しているがホットスポット(供給が困難な特定の品種)が存在する。しかし、顧客はセット生産に本当に必要な半導体の品種にフォーカスして特急要請を出してきている』としており、各顧客がセット生産に本当に必要な半導体にフォーカスして半導体メーカーとのデリバリー問題に臨んでいることが説明されています。

The market environment is similar to what we reported 90 days ago. Lead times for the majority of our products remain stable, but hot spots continue to exist. However, customers continue to be selective in their expedite requests, increasingly focusing on products that complete a matched set rather than expediting products across the board. This behavior is not specific to any product family, end market or geography. 引用 – Texas Insturments Q4 2021 Earnings

また、OEMも供給不足に対処するために、より利益率の高いセグメントの車種にフォーカスして生産の優先度の割り当てをしているようですので必要な型番に絞り込んで供給確保に動いているようです。

Denn angesichts der Versorgungsprobleme haben die OEMs den Fahrzeugen des oberen Marktsegments mit höheren Gewinnspannen den Vorrang gegeben, sodass der Anteil der Fahrzeuge aus dem D- bis F-Segment gestiegen ist.

(DeepL翻訳)
供給問題に直面したOEMメーカーが、より利益率の高い上位セグメントを優先したため、D〜Fセグメント車のシェアが高まった。引用 – Halbleiter für Automotive bleiben knapp

ただ、この1年の半導体供給問題を経て、車載半導体市場の顧客もこれまでよりも多い在庫を持つようになったことは各所で報道されている通りです。Bloomberg Intelligenceのシニアアナリスト・若杉氏は記事中で2022年のQ3には車載半導体のサプライチェーンの在庫が新たな適正水準である5-6ヶ月分の在庫に達すると予測しています。

自動車用半導体の供給網(サプライチェーン)全体で在庫が十分な水準に達するのは、2022年7-9月(3Q)頃になる可能性があります。半導体メーカーの在庫と、車メーカーおよび自動車部品ティア1(一次請け)メーカー、代理店を合わせたチャネル在庫を合計した在庫月数は、5-6カ月が新たな適正水準になりそうです 引用 –自動車用半導体の在庫解消時期を分析、2022年4月に注目

しかし、買いだめによる需要の押し上げがあったからと言って、その分の需要が必ず今年減るのかといえばそうでは無いと私は思います。本需要が減少しない前提で自動車業界が今後もこの在庫水準を維持し続け、さらに2021年になされた買い溜めがこの在庫水準に収まるのであれば、今年も来年も常に車載半導体市場には一定のセーフティストックの需要が発生するはずです

ここで個人的に懸念するのは、これまで在庫の保有を代理店や半導体メーカーに押し付け、長期のフォーキャストや発注をしてこなかった車載顧客がこの1年の間で急に発注方法を変えたからと言ってその精度には大きな疑問が伴うという事です。IHS Markitの指摘する市場を+7~8%押し上げた買いだめがそれでもまだ足りない水準なら、嬉しい悲鳴なのですが逆に過剰発注をしすぎていたりとか、もしくは新車の納期長期化で中古車が売れてしまった故、早めに生産終了せざるを得なくなってしまった車種に使う半導体だったりすると非常に恐ろしいなと思う次第です。

2022年の車載半導体市場の見通し

IHSによると、2022年の車載半導体市場は$56Bと+12%のさらなる成長が見込まれています。また別の調査会社にはなりますが、英国のOmdiaによると車載半導体市場は2025年まで年間平均12.3%の成長が見込まれるとのことです(Omdia: Surging automotive semiconductor industry to grow at 12.3% CAGR through 2025)。Omdiaも21年の車載半導体市場は前年比28.6%増の516億米ドルとしていますのでIHS Markitと大きなズレは有りません。

そして車載半導体市場を牽引していくアプリケーションはやはりPHEVやBEVなどパワートレインの電動化、ADAS、I&T(インフォテインメント&テレマティクス)ということです。

このペースで行くと2025年の車載半導体市場は821億ドル(約9兆円)規模になるわけですが、現在5500億ドルの半導体市場が2030年に1兆ドル市場になるという予想を踏まえると2025年の車載半導体が全市場に対して占める比重は10%を超え、ますます存在感を増していくと考えられます。

2022年車載半導体の供給ボトルネック

IHSによると2022年も車載半導体市場においてマイコンとアナログ半導体の供給が課題として継続するとしています。基本的になにか一つ部品が足りなければセット生産ができないので、半導体不足により他の半導体が余り車載半導体市場拡大の足かせとなるリスクがあります。特に車載マイコンとアナログ半導体の供給不足がどこまで解消されるかが2022年の注目点かなと思います。

車載マイコンの供給問題

車載半導体市場におけるマイコン(Microcontroller = MCU)サプライヤーはオランダのNXP、ドイツのInfineon Technologiesや日本のルネサスがよく知られています(Infineon Technologies Financial Results)。

しかし、実は半導体メーカーの多くはマイコンの製造をTSMCやUMCといった半導体ファウンドリに委託していると言われています。IHSによると、車載マイコンの7割がTSMCで製造されているということです。

MCUは、通常40nm未満の最先端プロセスノード(半導体製造プロセス)で製造され、これは ICの小型化が進むにつれて高度化が進んでいることを示している。プロセス関連の資本支出は 非常に高く、こうしたプロセスを備えたチップ製造工場(ファブとも呼ばれる)は限られている。 垂直統合型デバイスメーカー(IDM)など大半のデバイスメーカーは、こうした最先端ノードを 所有するTSMCなどのファウンドリにチップ製造を外注するという長期戦略をとっている。結果として MCUは1つのソースに極端に集中することになり、現在出荷されている車載MCU全体の約70%が TSMC製となっている。引用 – 2021年車載半導体不足への対処

車載マイコンが製造をTSMCに依存する一方で、TSMCにおける車載市場の優先順位はこれまでお世辞にも高いものとは言えなかったです。例えば2021年のTSMCの売上のうち車載半導体が占める割合は4%に過ぎませんでした(下記図 TSMC Financial Resultsより)。さらに車載マイコンはなかなか他社への置き換えが容易ではないということも供給不足を悪化させる一因となっているでしょう。

しかし、各国政府までが介入し、車載半導体不足がこれまで問題となり、さらに上述のように車載顧客も発注の仕方を改め、そして大幅な値上までされたのですから2022年こそは供給問題が緩和されることを願うばかりです。

アナログ半導体の供給問題

車には300nm – 65nmという幅広い製造プロセスで作られる多種多様なアナログ半導体が一台あたり100個以上使われています。しかし、上述の通りこれらの製造プロセスは比較的に古く、200mmウェハで製造されることが多いのですが一方でこれに対応する製造装置がなかなか入手しにくかったり、そもそも製造メーカー自体の投資体力が弱いなど構造的に供給力を増やしにくいという問題があります。

残念ながら、装置メーカーによっては、150mmや200mmの装置をすでに止めてしまった…例えば、携帯電話、電気自動車、ウェアラブル、モニター、産業用製品に使用されているチップの多くは、いまだに200mm装置を使用して200mmウェーハで製造されています。世界には現在約200の200mmファブが存在しており、全てのウェーハサイズをあわせたチップ生産能力の約25%を担っています。こうしたファブで製造されるのは、アナログデバイス、MEMS製品、パワーIC、RFデバイス、ディスクリートデバイス、センサーです。また、200mm装置の納期も延びています。通常3〜6ヶ月の納期が、1年以上になるケースもあります。
引用 – 『ポストコロナの半導体スーパーサイクルに増加するレガシー装置需要』

また、パワーマネジメントICや各種ドライバ、CMOSセンサーなどのアナログ半導体は車以外にもスマートフォンや家電、IoTなど様々な分野での需要が増えていますので車載以外でも増え続ける大口顧客からくる需要との取合いになっているのです。

供給過剰の懸念は

IHSによると、2024年までは車載半導体市場は少なくとも増え続ける需要に対して供給が追いつかない状況なので供給過剰に陥ることは無いとしています。

»wird die Produktion so lange steigen, bis die Nachfrage im Markt aufgeholt ist, und damit sind die verfügbaren Kapazitäten in den Jahren 2022 bis 2024 ausgeschöpft«
(DeepL翻訳)
「市場の需要に追いつくまで生産は増え続け、2022年から2024年にかけて生産能力は枯渇するだろう」引用 – Halbleiter für Automotive bleiben knapp

しかし、同時に2025年に自動車生産台数が1億台に達した後はその水準で高止まりし、現在のようにOEMが限られた供給で利益を最大化するために(1台あたりより多くの半導体を使う)高級セグメントに注力して車の生産を行うことも無くなり、さらにxEVの普及やADASの進化による車載半導体需要の成長率も緩やかになっていくことから車載半導体の供給も追いついて行くと予想されています。

筆者個人的にはスマホやPC、データセンターや産機といった他の市場の動向にも大きく左右されるのではと思います。車載半導体といっても、多くの場合は出てくるファブは一緒なのでその他の大口需要の勢いが弱まれば結果的に供給が緩み車載半導体の需給逼迫も緩和されると考えられます。

例えばメモリ半導体大手のSK hynixはQ4決算資料の2022年の見通しでPC出荷台数はフラット、スマホ出荷台数は1桁%台中盤に留まるとしています。さらに、今年は米国や欧州が利上げを行う観測も出ていますし、そうすると設備投資などに減速がかかり産機市場の需要の成長も減速するのでは、とも思います。

自動車市場の需要自体は減少しなくても、他市場の需要減速により思わぬ形で供給が緩んだり、それを機に上述のように長期発注していた物量が一気に出てくることで在庫過多になりすぎることで需給バランスが崩れるということはなきにしもあらずなのでは?と考えています。

次回記事: 大手車載半導体メーカー各社の業績と見通し

本当は本記事にまとめたかったのですが、長くなってしまいましたので次回の記事で車載市場向けの売上比重が大きいInfineon Technologies、NXP Semiconductors、ST Microelectronics、ルネサスエレクトロニクス、ON Semiconductorの5社を代表的な車載半導体メーカーとして取り上げ業績の振り返りと2022年の見通しについて解説してまいりたいと思います。

引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

 

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