2021年Q1(1月-3月)の半導体市場の振返りと今後を解説

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お世話になっております。2021年も気がつけば4月となってしまいました。筆者が住む欧州では相変わらず感染が収まらず、ワクチンの進捗も遅れており、昨年11月から既に半年近くレストランやバーでの飲食もできないような状況が続いております。

しかし、私が汗水たらして働いております半導体業界はありがたいことに大変素晴らしい市場環境となっており、日に日に次々と新たな案件や注文が舞い込んできて、出荷しても出荷しても足らないといった状況になっています(というか受注に生産が追いつかない)。

そんな半導体市場の2021年Q1(1月-3月)の振返りと最新の市況に基づく今後の見通しについて解説いたします。

この記事のポイント
・2021年の半導体出荷額Forecastは12月集計から4%増の$4,882億 (YoY+10.9%)
・2018年の歴代最高出荷額を更新予定
・牽引役はLogic(+13%)とメモリー(+7.6%)、市場は小さいが伸び率ではセンサー(+16.8%)とアナログ(+15.2%)が高い
・5Gスマホ出荷台数は2.5倍、PC需要は2桁%成長、GAFAM等によるクラウド投資が牽引
DRAM Spot価格はQ1で+6%上昇、MicronやNanyaなどメモリ半導体はQ1好決算
・ファウンドリ大手TSMCやUMCのQ1 月別出荷額も順調、さらなる値上げの報道
・ルネサス火事などは一部の車載半導体にとってマイナスだが、全体に与える影響は僅か?
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WSTSによる半導体出荷総額FCSTは上方修正

WSTS(世界半導体市場統計)は毎年春季と秋季に二度、その年と翌年以降の世界の半導体出荷額の総計見込みを発表します。前回の発表は2020年12月1日で2020年の出荷総額着地見込み及び2021年出荷総額見込みを以下のように出していました。

WSTS 2020年秋季半導体市場予想(2020年12月1日の発表)
CY20 半導体出荷総額着地予想: $4,331億(YoY +5.1%)
CY21 半導体出荷総額見込み: $4,694億 (YoY+8.4%)

しかし、先月の3月17日に修正版秋季市場予想として2020年の最終出荷総額結果と2021年出荷総額見込みの上方修正を発表しました。2021年Q1の3ヶ月の出荷実績と今後の強い需要を鑑みて、強気の数字が出されたのです。

WSTS 修正版 2020年秋季半導体市場予想(2021年3月17日の上方修正)
CY20 半導体出荷総額結果: $4,400億(YoY +6.8%)
CY21 半導体出荷総額見込み: $4,882億 (YoY+10.9%)

以下、その背景や品種位(ロジックやメモリなど)の事情について解説いたします。

2020年出荷額は2018年に次ぐ史上2番目の金額に

2020年の半導体市場はコロナによる先行き不安、からの在宅需要によるPC・データセンター特需、そして秋から5Gスマホと車載市場のリカバリーにより約4,400億ドルと2019年比で+6.8%の成長、2018年に次ぐ市場2番目に大きな出荷額を記録しました。

下記はWSTSの統計を基に筆者が作成した2017年から2020年の半導体出荷額の品目別出荷実績額で、グラフの中はそれぞれの品目の前年比成長率となっています。半導体出荷額の約半数近くをロジックとメモリーが占めているのですが、この2品目の成長率がそれぞれ約11%と約10%という大きな成長を遂げたことから2020年は前年比6.8%で歴代史上2番目に大きい出荷額を記録することができました。理由については上述の通り、在宅需要によるPC・データセンター特需と5Gスマホが大きいでしょう。

2021年出荷額予想を+4% 上方修正

さらにWSTSは2021年の半導体総出荷額予想を昨年12月に発表した4,694億ドルから約4%上方修正し、4,882億ドル (YoY +10.9%)としました(参考 WSTS Fall 2020 Q4 Update Corrected)。Q1の3ヶ月の実績と引き続き堅調なForecastを鑑みての上方修正だと考えられます。

WSTSによると、これまでの半導体デバイス史上の最高出荷額は2018年に記録された4,687億ドルですので、当初の予測であった$4,694億ドルもそうなのですが今回の上方修正された4,882億ドルを達成することができれば半導体デバイス出荷額の最高値更新を意味することになります。

下記の図は2017年から2020年までの半導体デバイス出荷額の品種別実績に2021年の出荷総額予想の従来版と修正版を加えたグラフとなります(データ出所: WSTS統計)。ご覧の通り2021年はすべての品種においてプラス成長が見込まれています。

CY21 成長ドライバと各品目・代表的な半導体メーカーについて

2021年の成長ドライバも出荷額で見るとやはりロジックとメモリが大きなカサを占めるのですが、それぞれの品種についてもう少し詳しく見てみます。

ロジック
→2021年FCST 約1,381億ドル(YoY +13%)で全品種のうち最も大きい
→前回見込みから約123億ドル (+10%)の上方修正
→データセンター投資、5Gスマホ比率比重の上昇、PC需要の継続などが後押し
→代表銘柄: Intel, TSMC, AMD, Nvidia, Qualcomm, Lattice, Xilinx など

メモリ
→2021年FCST 約1,264億ドル(YoY +7.6%)で二番目の大きさ
→前回見込みからマイナス約90億ドル (-6.5%)の下方修正
→2018年の過去最高出荷額記録 約1,579億ドルの壁は高い
→ロジック同様需要は旺盛でDRAMは値上がりが始まるが、NANDの価格下落が響くか
→代表銘柄: Smasung, SK hynix, Micron, Kioxia(非上場), WD, Winbond, Nanya など

Micro
→2021年FCST 約762億ドル(YoY +9.5%)
→MCU・MPU・DSPなどが含まれる
→コンスマーや車載といったリカバリー市場が牽引か
→代表銘柄: TI, Infineon, Microchip, NXP, ST Micro, ルネサス など

アナログ
→2021年FCST 約641億ドル(YoY +15.2%) 増加率は全品種の中で2番目に高い
→スマホ等に加えてやはりコンスマーや車載といったリカバリー市場
→代表銘柄: TI, Analog Devices, Infineon, ON Semiconductor, ST, NXP, Skyworks など

Discrete(個別半導体)
→2021年FCST 約261億ドル(YoY +10%)
2020年はマイナス成長
→Discreteの売上はMOSFETなどパワー半導体がメイン
→産業及び車載市場のリカバリーと、EV比率の上昇が背景と考えられる
→代表銘柄: Infineon, ON Semiconductor, ST Micro, 三菱, VISHAY, Rohm, ルネサス など

オプト
→2021年FCST 約439億ドル(YoY +8.8%)
2020年はマイナス成長
→LEDやCMOSセンサなど(WSTSの分類ではそのようにカテゴライズされる)
→コンスマー市場、スマホ市場が牽引役と考えられる
→代表銘柄: ソニー, 日亜(非上場), ams(+OSRAM), 東芝, Signify, 浜松フォト, Lumileds(非上場?)

センサー
→2021年FCST 約174億ドル(YoY +16.8%) 数は小さいが増加率は全品種の中で最大
→2020年も+10.7%成長
→温度センサ、圧力センサ、加速度センサ、アクチュエーター、磁界センサ など
→スマホ・コンスマー・IoT・車載などすべての市場に大量に使われる(単価はとても低い)
→代表銘柄: Infineon, TDK , Bosch(非上場), NXP, ON, Melexis など

21年Q1 汎用メモリスポット価格の変化

続いて、Q1のメモリ半導体のスポット価格の変化を見てみます。メモリは半導体の中でも上述の通り数量がとても多い上に代表的な汎用品である為、半導体受給指標の先行きをする数字として使われています。詳しくは下記の筆者の過去記事を参考にしてみてください。

DRAM eXchangeとメモリ半導体価格
台湾Trend Forece社のDRAM eXchangeでメモリ半導体のスポット価格情報を参考に半導体業界の市況を知る方法を解説。Samsung(サムスン), Kioxia(キオクシア), Micron(マイクロン), SK hynix(ハイニックス)など大手半導体メーカーの動向やニュースを知るのに役立つ。

21年Q1 DRAMのスポット価格の変化

DRAMのスポット価格は昨年末に底打ちして以来、値上がりが続いています。日経新聞によると4Gb DDR4のスポット価格はQ1で約6割ほど上昇しました。

(2021年3月11日) DRAMのスポット(随時契約)価格が急騰している。指標品は年初に比べ6割ほど高く、2019年3月以来2年ぶりの高値水準となった。パソコンなどの需要増に自動車生産の急回復が重なり、想定以上に半導体需要が増えた。米政府の対中制裁の余波もあって需給が逼迫した。品不足の解消には時間がかかるとみられ、今後も値上がりが続きそうだ。
引用: 日経新聞『DRAM、年初比6割高』

グラフだと見やすいです。下記は楽天証券の『特集:半導体セクターの重要トピックス(半導体不足が日本企業へ与える影響。インテルの新たな成長戦略)』という記事より引用する2017年10月から2021年2月中旬までの4Gb DDR4(2018年8月までは4Gb DDR3)のスポット価格の推移です。2月時点でメモリバブル末期の2018年下期水準までスポット価格が上昇していることがわかります。

DRAM価格は引き続き旺盛なPC・コンスマー需要に加えて秋発表のスマホ新製品の作り込みがQ2末から控えていたり、またコロナで好業績を連発し有り余る資金を持つGAFAM等のデータセンター投資が待ち受けていますので今後も上昇が見込まれます。DRAM大手のMicronやSamsung、SK hynixなどにとってはいいニュースです。

また、リカバリー市場である車載や産機向けDRAMはスマホやコンスマーほど製品サイクルが早くなく、DDR3型などレガシーDRAMを使っている場合が多いです。DRAMは製品サイクルが早く、上記の大手はどんどん新しいDRAMに移行する一方で需要は引き続き残りますので供給が逼迫しやすいです。台湾DRAM準大手のNanya TechnologyやWinbondなどは特に恩恵を受けると考えられます。

半導体メモリーのDRAM大手、南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)が9日発表した2021年1~3月期決算は、純利益が前年同期比40%増の27億台湾ドル(約105億円)と大幅に増えた
引用: 日経新聞『台湾南亜科技、40%増益1~3月最終 パソコン向け半導体好調』

21年Q1 NANDのスポット価格の変化

一方でNANDのスポット価格は昨年から下落が続いています。同じく楽天証券の『特集:半導体セクターの重要トピックス(半導体不足が日本企業へ与える影響。インテルの新たな成長戦略)』という記事から引用した64Gb MLCおよび128Gb TLCという二種類のNANDのスポット価格の推移を表したグラフが下記となります(違いについては下記で説明します)。

NANDのスポット価格の下落は様々な要因がありますが、まずDRAMに比べてプレーヤーが多いということが一つだと思います。DRAMはSamsung・Micron・SK hynixの3社寡占市場に対して、NANDはKioxia・WDが加わります。また中国のXMCなども頑張っていますのでチキンレースになりやすいです。

さらに、DRAMは微細化がかなり成熟しておりBit Growthが増えにくいのに対して、NANDは約5年前に微細化からセルを積層する3Dに移行したり、また最近では一つのセルに4bitを格納できる(従来はSLC = 1bit/cell, MLC = 2bit/cell, TLC = 3bit/cell)タイプのNANDもリリースされておりBit Growthが増えやすいというのも要因です。なおSLC・MLCはレガシー品となっていて信頼性が求められる産機・車載市場で使用され、マスマーケットであるコンスマー・スマホ・データセンターではTLCが主流となっています。

しかし、Trend ForceによるとSLCやMLCといったタイプのレガシー品の価格上昇は始まっており、また下記のMicron決算発表で言及しますが、TLCを含むNANDは市況逆転の兆しが見えており、価格の上昇が始まればメモリ市場は想定よりも良くなるかもしれません。

Micron 21年CQ1 (FQ2) 決算発表

3月30日に米半導体大手のMicronの12月-2月期決算発表がありました。以下、簡潔にポイントのみを抜粋します。決算記事は当ブログで既にリリースしていますが、以下ポイントのみを抜粋します。

Micron FQ2(CQ1) 決算とメモリ半導体の最新市況
メモリ半導体大手Micron(マイクロン $MU)の12月-2月期決算結果のまとめ及びメモリ半導体市況に関する最新考察記事となります。サーバー及びモバイルという2大市場に牽引され、DRAMは価格上昇、NANDは市況好転の兆しが見えています。メモリ半導体の好業績はまだまだ始まったばかりだと考えます。
Micron Q1決算ポイント
売上: $6,236M … QoQ +8% / YoY +30%
・Gross Margin: 32.9% … QoQ +2ppt / YoY +3.8ppt
・営業利益率: 20.2% … QoQ 3.3ppt / YoY +8.9ppt 
・DRAM Spot価格は20年末から上昇に転じ、2018年メモリバブル崩壊前の水準
NANDは価格上昇基調の兆しが見え始めた
・牽引分野はAI(データセンター)および5Gスマートフォン
→データセンターは2Hからのさらなる投資加速を示唆
→スマホ市場は+11%の出荷台数成長、5Gスマホ出荷台数は倍増

サムスン電子 Q1決算ガイダンスアップデート

4月6日には半導体2番手のSamsung ElectronicsのQ1(1月-3月期)決算ガイダンスが発表されました。会社全体としては売上も営業利益も良いのですが、半導体事業に限るとDRAMは好調を示唆するものの、Texasの寒波によるファブ操業停止や設備投資の償却費を鑑みて20%減益というアナリスト予想も出されています(CNBC “Samsung Electronics says first-quarter profit likely rose 44%, matching expectations”)

21年Q1 ファウンドリ稼働状況

世界最大手のファウンドリTSMCと3番手のUMCは毎月の出荷実績を公表しています。会社発表に基づくそれぞれの売上数字を見てみます。

TSMC Monthly Revenue

TSMCが公表する2019年12月~2021年3月までの月別の売上を抜き出してグラフにしました(通貨 NTD)。なお、緑の折れ線グラフは前月比変化率でオレンジはYoY変化率です。筆者が確認する限りでは先月2021年3月のNTD売上高は月別売上史上最高額である2018年3月とほぼ同額の1,033億NTD(約36億米ドル)となりました。直近だと年末商戦に向けてスマホの作り込みがピークを迎えると考えられる2020年9月の売上高を更新しています。売上のプロセス比率も利益率がより高い7nmや5nmの比重が増えていると推測されるので次回の決算発表が非常に楽しみです。

TSMCは先端プロセスで独走状態となっています。スマホやHPCなどで使われる7nmや5nmといった先端プロセスをほぼ独占しており、また今後3年間で約11兆円という将来に向けた莫大な投資を続けます。TSMCはその一方でレガシープロセスラインもまだまだ稼働させており、逼迫する市況の煽りをうけて値上げを続けていると報道されています。

ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、4月から受託製造料を引き上げるとの観測が浮上している。値上げ幅は最大3割とみられている。14日付蘋果日報が伝えた。
引用: アジア経済ニュース『TSMC、4月に受託製造3割値上げか』

UMC Monthly Revenue

UMCは台湾の大手ファウンドリで、ファウンドリ売上シェアではTSMC、Samsungについで3番手となっています。大手2社と異なり微細化を追い求めない代わりに、28nm世代より古いレガシープロセスや8インチウェハの生産ラインと言った成熟したプロセスに強みを持っています。これらのプロセスや8インチウェハで製造される半導体は供給の成長率が非常に低い一方で、車載や産機市場で求められる需要は伸び続けており、供給不足から値上げが続いています。下記はUMCの会社発表に基づき筆者が作成した毎月の売上高のグラフです。TSMC同様緑の折れ線は前月比変化率でオレンジの折れ線はYoY変化率です。

聯華電子(UMC、聯電)と世界先進積体電路(バンガード・インターナショナル・セミコンダクター)のファウンドリー(半導体の受託製造)2社は春節(旧正月、今年は2月12日)明けに予定しているとみられ、値上げ幅は最大15%という。25日付経済日報などが伝えた。聯電(UMC)は2月に8インチウエハーの受託製造料を3~10%、第2四半期(4~6月)に8インチと12インチをそれぞれ10%値上げする見通し。8インチ専業の世界先進は、春節明けに最大15%の値上げに踏み切るとみられている。
引用: NNA『【台湾】半導体に再び値上げの波、最大15%も[IT]』

エンドマーケット別・注目ポイント・懸念点

最後に、半導体市場を牽引するそれぞれの市場の観点から解説をいたします。

スマホ

スマートフォン市場は半導体出荷額の約3割を占める重要な市場です。特に微細化を牽引するSoCや通信モデム、メモリーにとっては稼ぎ頭です。

調査会社のGartnerによると2020年のスマホ出荷台数は前年比-10%の減少となりました。しかし、同社によると2021年のスマホ出荷台数は約15億台で20年比+11.4%の成長となる予定です。さらに、5Gスマホの出荷台数は約2.5倍となり、スマホ出荷台数の約35%を占めると予想されています(参考Gartner Says Worldwide Smartphone Sales to Grow 11% in 2021)。

5Gスマホはメモリ半導体需要の底上げに寄与します。平均的な4Gスマホの搭載DRAM容量が約6GBなのに対し、5Gスマホに搭載されるDRAMは約8GBと言われています。またストレージの容量上限も256GB〜512GBだったのが、1TB級のNANDを積んだスマホが登場してきています。

スマホにはシーズナリティがあります。各社は秋ころに新作を発表し、販売が好調になる年末商戦を考えると作り込みのピークはQ2(4月-6月期)の終わりからQ3(7月-9月期)となります。今はまだ4月ですので半導体市場がスマホの追い風を受けるのはまだまだこれからだと考えられます。

PC

PC市場は既に頭打ちとなっていますが、Gartnerによると2020年のPC出荷台数は2億7,500万台と前年比4.8%という過去10年で最高の成長率を記録しました(参考 PC Watch『2020年のパソコン出荷台数は2億7,500万台。過去10年間で最高の成長率~Gartner調べ』)。これにはもちろんコロナによる在宅勤務特需が影響していると考えられます。

しかし3月23日に米半導体世界最大手のIntelが発表した2021年通年Guidanceによると今年のPC市場はさらに2桁%の成長が見込まれるとのことです(PCの出荷台数か、CPUの出荷金額か厳密には不明だが2020年のYoY出荷台数増加率が+4.8%だったことを考えるとCPUの出荷金額の可能性もアリ)。一方で、サブストレートなどの部材がボトルネックとなり伸び悩みが生じる可能性があるということもリスクとして言及されています。

For the full year, Intel expects continued strong PC demand with double-digit PC TAM percentage growth. Intel client CPU supply is also expected to be up double-digits year-over-year. However, PC revenue will be tempered by the industry-wide shortage of critical third-party components, such as substrates, which the company is working with its supply chain partners to mitigate. Intel’s full-year business outlook also reflects entity list uncertainty.
引用 – “Intel Provides Financial Update and Full-year Business Outlook”

サーバー

サーバーもスマホ・PCと並んで半導体にとって非常に重要な市場となります。3月末のMicron決算発表では経済回復に伴う企業や政府機関によるサーバー投資の回復GAFAM等のハイパースケーラーによる強いクラウド投資が見込まれている、と言及されています。

・Enterprise DRAM bit shipments grew sharply Q/Q but were still down Y/Y; demand is starting to improve as IT budgets increase in anticipation of economic recovery
・Cloud DRAM bit shipments also grew Q/Q; anticipate robust demand from U.S. hyperscale customers, especially 2HCY21
引用 – Micron Financial Result FQ2 2021

車載

一般社団法人日本自動車会議所によると、2020年の主要各国に置ける新車販売台数は5,517万台と2019年比-11.5%の減少となりました。

車載半導体の売上高は半導体出荷総額の約10%程度ではありますが、車載半導体に強みを持つ半導体メーカーの業績に大きなインパクトを与えました。しかし、昨年秋頃から、急激な回復を見せており、現在車載半導体は特に深刻な供給不足に陥っています。正直申し上げて、個人的には昨年の12月ころに『Q2に入れば収まるだろうな』と予想していたのですが、その予想は外れそうです。

車載半導体市場の成長ドライバであるxEVの出荷台数は増加傾向

一方で、プラグインハイブリッドなど、パワートレインに何らかの形で電動化がなされている車両の出荷台数は増え続けています。EV-volumes.comによると、2020年のすべてのタイプの新車販売台数は-14%の減少(先の統計とは対象国数が異なる)だったのに対しBEV+PHEVの出荷台数は+43%の増加となりました。

こちらは過去3年間の月別のxEV出荷台数で、月を追う毎に出荷台数が増えていることがわかります。

車載半導体は長い目で見るとまだまだ成長が期待される分野です。特にパワートレインの電動化と自動運転レベルの進化という観点から、車1台あたりに搭載される半導体のコストが下記のグラフのように2倍以上になります(Infineon Technologies Fourth Quarter 2020決算資料を基に筆者作成)。

リスクなど

以上のように現在の半導体市場は非常に好況に恵まれており、少なくとも2021年一杯は半導体各社の好業績が続きそうな見込みとなっています。しかし、一方で潜在的なリスクもあると考えられます。

まず第一に、顧客の二重発注です。二重発注とは、モノ不足の不安から顧客が生産と通常の安全在庫水準以上の数量を発注することです。発注数量が増えることはありがたいのですが、顧客の在庫が積み上がりすぎるとある時点で調整が入り、受給が逆転することが過去にも何度かありました。ただ、半導体サプライヤも過去の経験から二重発注対策には慎重になっているのであまり心配しすぎる必要はないかもしれないというのが私見です。

続いて、ある特定の品種や部材がボトルネックとなり生産が不可能になるリスクです。例えば日本の車載半導体大手ルネサスエレクトロニクスの工場で火災が発生し、一部の自動車向け半導体の生産に影響が出ていると報道されています。火災が発生した那珂工場では車載マイコンを生産していると報道されているのですが、このようなタイプの半導体はすぐに他社製品に代替をすることがとても難しい、もしくはほぼ不可能です。それにより、車自体が作れなくなり、メモリなど基本的にどこのメーカーの半導体を使っても同じである汎用品などがモノ余りとなる可能性があります。しかし、車載半導体はまだまだ需要の10%程度ですし現在の強い需要であればすぐに行き先が見つかるので半導体市場全体が崩れるような心配はないと考えます。

半導体大手ルネサスエレクトロニクスの那珂工場(茨城県ひたちなか市)で3月中旬に火災が発生し、主力の生産ラインが停止している。生産再開には1か月程度かかり、出荷量が元に戻るのは、6~7月になる見通しだという。那珂工場は、車の走行などを制御する半導体「マイコン」を製造していた。車向けマイコンの生産で、ルネサスは世界トップだ。国内の自動車メーカーは、マイコンの多くをルネサスに依存しており、減産に追い込まれる可能性が高い。自動車は日本の基幹産業で裾野も広く、大幅な減産が経済全体に悪影響を及ぼすことは避けなければならない。
引用 – 讀賣新聞『ルネサス火災 半導体不足に拍車をかけた』

最後に、長い目となりますがLogic半導体不足を個人的には懸念しています。LogicはCPUやGPUに代表される品目で半導体の出荷額のうち、現在最も大きなパイを占めるところです。PC向けCPUやスマホ向けSoC、サーバー向けCPU・SoCなど非常に大きな市場となっていますがこれらの半導体を生産できるメーカーはIntel・TSMC・Samsungの3社だけと言っても過言はないでしょう。CPUのシェアで言えば圧倒的なのはIntelなのですが、スマホ向けSoCやGPUなどを含めると生産の多くをTSMCに依存している状況になっています。

TSMCは現在絶好調で7nm→5nmとプロセス移行を進められており、アップルを始めとするスマホ向けSoCやAMDのCPU、QualcommやNvidiaなどのロジック半導体の需要に対応できています。一方で、Intelは10nm以降のプロセス移行に苦しんでおり2023年からPC・サーバ向けの一部のCPUを外部生産委託することを発表しています。これらの生産を請負えるのはTSMCもしくはSamsungしかいないわけですがApple・Nvidia・Qualcomm・Samsung(自社向け)といった唯でさえ大きな需要家が集中しているところに巨人Intelの生産分がかさ増しされるのです。その頃にTSMCの3nmやSamsungの7nmおよび5nmが順調に立ち上がっていれば良いのですが、万が一立ち上がりがうまく行かなかったらLogic半導体の供給不足になることも懸念されます。

車載向けのマイコンは一部の車載モデルにしか使われませんが、Logicとなると半導体の需要の大半を占めるスマホやPC・サーバーに影響します。そうすると、それらの需要に合わせて供給量を増やしてきたメモリなどの半導体が行き場を無くし、価格が下落する可能性も否めません。実際に2018年にはIntelが14nmから10nmの移行に苦戦し、CPUの出荷数量がなかなか上がらず結果的にPCの生産に影響したことがメモリ価格の崩壊を招いた一因であると言われています(参考 – Trend Force “Shortage of Intel CPU to Impact Notebook Shipments, Causing Further Price Decline in the Memory Market, Says TrendForce”)。

ただ、これについては現時点で何か特段の証拠があるわけでもないですし、あくまで筆者個人の中期的な目線であるに過ぎません。

まとめ

以上、2021年Q1(1月-3月)の半導体市場の振返りと今後の見込みについて解説をいたしました。

2021年の半導体出荷額予測は12月集計から4%増の$4,882億 (YoY+10.9%)で歴代最高出荷額を更新予定です。エンドマーケット毎に見ると5Gスマホ出荷台数は2.5倍、PC需要は2桁%成長、GAFAM等によるクラウド投資が牽引しており出荷額の大きなLogic(+13%)とメモリー(+7.6%)が貢献しています。メモリ大手のMicronのQ1決算やTSMC・UMCのQ1月別売上にもその数字が反映されています。

さらに車載市場の回復とEV出荷台数の増加や設備投資の回復から産機市場も盛り上がりを見せていて、絶対額は小さいもののセンサー(+16.8%)やアナログ(+15.2%)、ディスクリート(+10%)といった半導体にも恩恵をもたらしています。

ルネサス火事などは一部の車載半導体にとってマイナスだが、全体に与える影響は僅かだと考えられ今年は通年で好況が続くと考えられます。

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