お世話になっております。
タイトルの通り、売上Top 10ランキングには入らない半導体デバイスメーカーやその他装置メーカーなどを淡々と紹介していこうと思います。なお、2020年の半導体売上げランキングは下記にて紹介されています(元ソースはGartner)。
紹介スタイルはごくシンプルに社名(米株ならティッカー、日本株なら証券コード)、数行で会社紹介にとどめます。興味があるメーカーの業績などをご自身で調べてもらえればと思います。なお紹介する順序には何の意味もございません、なんとなく頭の中で思い浮かんだ順です。
半導体デバイス
Ambarella ($AMBA)
画像処理SoCのファブレスメーカー。Go Proやドローンのような民生品が当たってから急成長。現在はマシンビジョンなど産業機械系や車載にも注力。車や機械に『目』が搭載されればされるほど需要が伸びていく分野。AI処理など付加価値も高い分野。
ON Semiconductor ($ON)
通称オンセミ。パワー半導体大手、車載や産業用途に強み。数年前にCMOSイメージセンサーのアプティナを買収しています。ソニーやサムスンのセンサーと違ってマシンビジョンや車載に注力。
Microchip ($MCHP)
幅広いラインナップを持つマイコン大手。数年前にはAtmelを買収。アナログソリューションも持っているので包括的なソリューションを提供。車のナビのタッチパネルやUSBなど強い。
Analog Devices ($ADI)
その名の通りアナログ半導体の大手。最近マキシムを買収し、アナログでは売上2番手で首位のTIを追う。数年前にLinear Technologyを買収し、非常に強いポートフォリをを持ちます。利益率も高い。
ST Microelectronics ($STM)
マイコンやパワー半導体の大手。パワー半導体はウェハの大口径化やSiCなど次世代パワーデバイスにも積極的。車載で採用実績すでに有り。
Wolfspeed ($WOLF)
旧名CREE(クリー)。LEDなどをやめて、SiCパワーデバイスに注力する方向へ舵を。STマイクロなどのパワー半導体大手にSiCウェハを供給などもする模様。
Lattice Semiconductor ($LSCC)
FPGA準大手。FPGAはユーザーが回路の構成を書き換えすることができる(Field Programmable)半導体です。ざっくりいうと、それによりユーザーが望む機能を実現させることが出来ます。FPGAと言えばインテルに買収された旧Altera社とAMDが買収を発表したXilinxが有名ですがLatticeは独立系として残っています。じっちゃまこと、広瀬隆雄氏もセミナーで紹介されていた銘柄です。
Everspin ($MRAM)
MRAM(磁気抵抗メモリ)というメモリ専業メーカー。まだまだユースケースは少ないが市場規模はデータセンターや産業機械など特殊用途を中心に2020年→2023年に2倍以上に拡大する見込みとのこと。
Marvell ($MRVL)
ネットワーク系に強いファブレス半導体メーカー。旧CaviumのARM系サーバー用途SoCやEthernet PHY・SwitchなどはあのBroadcomの競合。最近でも買収を繰り返し、ネットワーク分野を一層強化している。
MaxLinear ($MXL)
低消費電力なMixed Signalに強み。ブロードバンド通信、テレコム系マーケット向けにRF ICやMixed Signal ICなどのシェアあり。ファブレス。
NXP Semiconductors ($NXPI)
オランダの大手半導体メーカー。通信やモバイル、セキュリティそしてやはり車載マーケットに強みを持つ。
Silicon Lab ($SLAB)
Bluetooth、Wifiなど各種無線系に強み。2021年に入り、インフラ・車載事業をスカイワークスに売却してしまった。
SiTime ($SITM)
元Boschの一部門。水晶を使用せず、シリコンで発振器などのタイミングデバイスを供給するニッチメーカー。2019年にIPOしたばかり。
Semtech ($SMTC)
パワー・マネージメント、インタフェース、ワイヤレスなどなどアナログやミックスドシグナルに強み。エンドマーケットも民生から産業、車載まで広い。
Infineon Technologies ($IFNNY)
ドイツの半導体大手、元Siemensの半導体部門。日本で言うルネサス的な位置づけ。パワー半導体最大手、アナログもそれなりのシェアがあり、車載向けにマイコンなども強い。直近ではCypressを買収し、インフォテイメント系のソリューションとメモリをポートフォリオに追加。車載マーケットで存在感有り。
Sierra Wireless ($SWIR)
LTE、5Gなどのセルラーモジュール、GNSSなどのモジュールなど。
Skyworks ($SWKS)
スマホや無線インフラ機器向けのパワーアンプ、フロントエンドモジュール、各種RFなど無線周波数や移動通信システム向け半導体メーカー。現在は5Gで恩恵を非常に受けているが、$SLABの車載事業を買収し、車載を次の成長の柱とする様子。スマホの依存率が高いとアップダウンが激しいという弱点も。
TE Connectivity ($TEL)
各種センサー、そのたコネクターやアンテナなども。
Vicor ($VICR)
特殊用途向けの電源モジュールメーカー。
Vishay ($VSH)
MOSFET、ダイオードなどのディスクリートとPassive(受動)半導体のメーカー。パワー半導体ではシェアランキングでTop 10の中盤くらいには食い込むらしい。
Silicon Motion Technology ($SIMO)
台湾のストレージコントローラ−大手、通称SMI。コントローラーとはSDカードやSSDなど、メモリーの複合製品はNANDというデータを記憶するメモリ半導体+データの入出力などを制御するコントローラーで構成されていますがSMIはコントローラーの大手です。
ams AG (欧州市場のみ?)
オーストリアのイメージセンサー準大手。LEDのOSRAMを買収。車載向け3D LiDARなどセンシング系も手掛ける。
Giga Device Semiconductor (603986.SS)
中国ファブレスメーカー。NORフラッシュ、ARMベースのマイコンなど。
Winbond (2344.TW)
台湾準大手レガシーDRAM、NORなど
Macronix (2337.TW)
台湾大手NORフラッシュ
Nanya Technology (2408.TW)
台湾DRAM、世界四番手。レガシーDRAMもやりつつメインストリームのDRAMの開発・生産も手掛ける。
ミナトホールディングス(6862)
DRAMメモリモジュール、フラッシュプログラミングサービス(FWなどを顧客納入前に書き込むサービスの下請け)。その他、Kingstonの日本国内代理店など。
日清紡HD(3105)
半導体専業ではないが、新日本無線と元Ricohの半導体部門を買収しアナログ半導体事業部を創設。
MegaChips (6875)
ASIC・LSIに強み。特に日本ではアミューズメント(パチスロ台など)向けLSIなどで知られている(評価、採用、供給が大人の事情で結構面倒くさい分野)。車載Ethernet PHYなどもやっているらしい(ブロードコムやマーヴェルが強い分野)。
ミネビア(6479)
日清紡同様、半導体専業ではないが元セイコーインスツルメンツのエイブリックを傘下に収める。
THINE(6769)
ミックスドシグナル。映像伝送用高速インターフェースのLVDSやV-by-One HSという独自規格を持つ。V-by-One HSは4K2K/UltraHD対応デバイスにおけるインターコネクト・スタンダードとして普及。
アクセル(6730)
パチスロなどアミューズメント向けLSI。最近ではブロックチェーンなどもやっているらしい。
製造装置
ASM International ($ASMI)
デバイスメーカーではないですが、オランダの半導体製造装置メーカー。ALD(Atomic Layer Depostion/薄膜形成装置)に注力。買っときゃよかったと個人的に後悔(2021年10月時点)。前工程。
ALDのASMIも忘れないであげてください。ASMLと同じオランダです。ALD一本では無理なのでいずれどこかと一緒になります。AMATもLamもALDの製品を持っているので、そうすると後はどこ?
[FT・Lex]蘭ASMIがALD技術で先行、株価上昇: 日本経済新聞 https://t.co/svsx5cpXkw
— やなたく (@yanagawa_takumi) August 25, 2021
高田工業所(1966)
装置事業にてSiC基板などの超音波カッティング装置を手掛けている。SiCは加工時の素材ロスが高い単価の原因となっており、加工時におけるロスを削減することが大切。後工程。
Mipox(5381)
パワー半導体のエッジ研磨加工。SiC等のデバイスの歩留まり低下の原因であるキラー欠陥を特定するシステムを開発し生産性の向上により、SiCデバイスの価格の課題を解決が期待される。後工程。
タカトリ(6338)
SiCなどのインゴッドの精密切断加工機のメーカー。後工程。
日本マイクロニクス(6871)
ウェハプローブカードの大手。
ファウンドリ・OSAT
United Microelectronics ($UMC)
台湾の準大手ファウンダリ。TSMCやSamsungのような先端プロセスは持っていないが、まだまだ需要が強いレガシープロセスを使った半導体の受託製造に強みをもつ。
Tower Semiconductor ($TSEM)
イスラエル系のファウンドリ。TSMCのように微細化の最先端を走り、スマホやデータセンターなどの花形をやっているわけではないが、特にアナログに強みを持ち車載や医療、産業などの安定した分野へ注力。パナソニックの半導体工場を取得している。
Win Semiconductor (3105.TWO)
化合物半導体専業ファウンドリ、世界最大手。5G及びその先の次世代通信半導体に使われると期待されている。
ASE Technologies ($ASX)
台湾のOSAT最大手(後工程&テスト受託専門。TSMCなどがウェハプロセスの前工程特化、OSATはその後の組み立てと出荷前のテストに特化)。
Amcor ($AMCR)
ASE同様OSAT大手。
イビデン(4062)
日本のパッケージ、テスト最大手
その他 (IP・Softwareなど)
Rambus ($RMBS)
IP企業。高速インタフェースに強み。もともとDRAM用のインタフェースを扱う特許会社。
Cadence&Synopsys ($CDNS & $SNPS)
回路設計自動化ソフト大手2強、説明不要か。