Micron($MU) FY22 Q2決算

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おせわになっております。

メモリ半導体大手のMicron Technology(マイクロン/$MU)のFY22 Q2決算発表のまとめ記事となります。

本記事で取り上げるMicron(マイクロン)の決算内容の数字は全てMicron Technology社の決算発表し資料を情報ソースにしております。

【この記事のポイント】
・売上QoQ +1% / YoY +25%、高い利益率を維持
・来期GuidanceもQoQ +11.7% / YoY +17%
・製品別ではDRAMはASP下落、反対にNANDは上昇、SSD製品Mixが寄与
・事業部別ではサーバーが強い、昨年はメモリ半導体最大のエンド市場に成長、今後もメモリの平均市場成長を上回る
・スマホはやや減速?中国市場の鈍化を示唆
・部材や輸送費などの高騰によるコスト上昇を示唆、一方で1znm/1αnmDRAMや176層NANDでコスト競争力を向上し、高い収益率は安定
・非メモリ半導体不足は解消に向かっていることを示唆、顧客の最終製品生産が可能になり汎用品であるメモリ半導体の出荷には好影響
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Micron(マイクロン) FQ2決算結果

MicronのFQ2決算結果は下記のようになりました(いずれもnon-GAAP)。

【FQ2 決算結果】
売上
: $7,786M … QoQ +1% / YoY +25%
Gross Margin: 48% … QoQ +1ppt / YoY +15ppt
営業利益率: 35% … QoQ Flat / YoY +15ppt
EPS(Diluted): $2.14 … QoQ -0.9% / YoY +118%

下記はMicronの四半期ごとの売上・粗利率・営業利益率の推移のグラフです(Micronの決算資料を元に筆者作成)。なお、MicronのFiscal YearとCalendar YearにはズレがあるのでCalendar Yearに換算している点にご注意ください(Micron FY22 Q1 = Calendar Year CY21 Q4)。

基本的にカレンダーイヤーの前半は、シーズナリティの影響で半導体の需要は強くありません(半導体が多く使われるスマホや家電、ゲームコンソールなどは秋に新作発表があり、年末のプレゼントシーズンにかけて売れる為)。しかし、CQ4比で売上・粗利率ともに減少どころか微増を達成できたのは良かったのではと思います。後述しますが、NANDのASPがQoQで上昇していたようです。

Micron FQ3 Outlook

Micronは来期の業績予想を以下の通り発表しています。

【Micron FQ3 2022 業績予想】
売上
: $8,700M±200M … QoQ +11.7% / YoY +17% *Mid Point基準
Gross Margin: 48%±1% … QoQ Flat / YoY +5ppt
EPS(Diluted): $2.46±0.01 … QoQ +14.9% / YoY +30%
QoQ・YoYともに2桁%の売上成長を見込んでいます。部材や送料など、サプライチェーンの様々な場所でもインフレが起きていることを示唆していますが、176層のNANDや1znm/1αnmのDRAMなど先端製品のミックスを上げることで粗利率48%を見込んでいますので非常に良い収益性を保てているのではないかと思います。
We are also seeing cost impacts from continuing inflationary pressures and from supply chain mitigation actions related to industry-wide shortages… We do expect both DRAM and NAND gross margins to increase sequentially in fiscal Q3. A higher mix of NAND revenue in our consolidated total will affect our consolidated gross margin, as our DRAM gross margins are substantially higher than our NAND gross margins
引用 – Micron Fiscal Q2 Earning Call Prepared Remarks

Micron メモリ品種別の売上と市況見通し

Micronの売上と市況の見通しをそれぞれメモリ品種別(DRAM・NAND)に分けて見てみます。

DRAMはデータを一時的に記憶するタイプのメモリーで、Micronと韓国のSamsungやSK hynixの3社寡占市場となっています。需要が大きい市場はスマホやPC、サーバーです。カレンダーイヤーの前半は季節性の影響で、半導体の需要は弱いことで知られていますが今年は特に昨年比でPC需要減や5Gスマホ需要の一服感が警戒されています。一方でサーバーは経済再開による企業の投資活動やDDR5への移行などを背景に底堅い需要が見込まれていると言えるでしょう。

NANDは電力の供給がなくてもデータを保存することが出来るタイプのメモリーでMicron、Samsung、SK hynixの他にKioxiaやWestern Digital、Intel (SK hynixが買収済)や中国のYMTCなど多くのサプライヤーが存在しより競争が激しい市場となっています。

下記は決算資料を元にしたDRAM/NAND売上の四半期の推移です。以下、DRAM・NANDそれぞれ詳しく解説致します。

DRAM事業の結果と最新の市況見通しについて

MicronのFQ2 DRAM事業の纏めです。以下Micronの今期のDRAM売上、Bit出荷、ASPについて纏めます

Micron FQ2 DRAM事業
DRAM売上: $5,719M(売上の73%)… QoQ +2.3% / YoY +28%
Bit出荷: QoQで1桁%台後半の増加
ASP: QoQで1桁%台中盤の下落
DRAMのQoQ ASP(平均販売単価)は下落しましたが、出荷量が増えたことで結果的にQoQで増収となりました。MicronのFQ2に出荷されたDRAMのプロセスの大半が1znmおよび1αnmがランプアップ中ということです。底堅い収益力の秘訣はここにあると思われます。
続いてMicronの2022年のDRAM市場の見通しです。前回の決算発表時から大きく変化ありません。
2022年のDRAM市場の見通し
・2022年以降のDRAM需要はBit換算で+10%台中盤~後半の成長を維持(前Qから見通し変化なし)
・MicronのDRAM供給Bit Growth(出荷するDRAMの個数)は需要通りの成長(前Qから見通し変化なし)
ただ、少し気になる文が書いてありました。DRAM/NANDともに需給バランスは安定しており、さらに非メモリ半導体の逼迫状況は解消しつつ有る、ということです。
Currently, we see a healthy supply-demand balance across both DRAM and NAND . Non-memory component shortages are improving, and we expect that further improvements should support memory and storage demand growth for rest of this year.
引用 – Micron FQ2 決算資料
2021年の9月末の決算発表で、Micronは『非メモリ半導体不足により顧客が最終製品を組み立てられず、結果的にメモリがあまり始めている』というコメントをしておりました。そのときには『この減少は一時的で数ヶ月以内に解消されるだろう』という続きもあったのですが今回の決算発表のコメントを見る限り、解消に動いているようです。
https://twitter.com/Anago_in_EU/status/1442990050682101770?s=20&t=A6Q0diZbi2PsO90QydZZwg
しかし、このまま需給バランスが拮抗する状況が続けば良いのですが、今度は供給過剰に転じてしまうと、半導体の中の人としては困ってしまいます。

NAND事業の結果と最新の市況見通しについて

続いてMicronのFQ2 NAND事業の纏めです。まずはMicronのNAND売上、Bit出荷、ASPについて纏めます。

Micron FQ2 NAND事業
NAND売上: $1,957M(25%)… QoQ +4.2% / YoY +18.6%
Bit出荷: QoQで横ばい
ASP: QoQで1桁%台中盤で上昇
FQ1ではNAND ASPがQoQで1桁%の下落でしたが一転して、今度は上昇しました。出荷個数は横ばいですので結果的に+4.2%の増収となりました。ただ、NANDの単価としてはASPは下落しているようで、MicronはSSDの比率が上昇したことで結果的にNAND事業部としては増収を達成したようです。馴染みのない方向けに簡単な説明ですが、SSDとはNANDフラッシュ+コントローラー&ファームウェアで構成されており、特にデータセンターなどへ採用されるNVMe SSDなどは付加価値の高い製品です。NANDフラッシュ単体だけを売る、もしくは複合製品でも比較的付加価値が低い製品も有るのですが、今回のMicronのコメントを見ると『NAND市場の平均単価は下落しているが、付加価値の高いSSDの製品ミックスが上がったことで結果的にNAND事業はプラスになった』ということでしょう。
ASPs increased in the mid-single-digit percentage range due to a stronger mix of SSDs more than offsetting like-for-like price declines. Our ongoing portfolio transformation and solid front-end cost reductions drove sequential gains in gross margin in NAND, despite sequential price declines in most products.
最後にMicronによる2022年のNAND市場の見通しです。
・2022年以降のNAND需要はBit換算で+30%台の成長を維持(前Qから見通し変化なし)
・MicronのNAND供給Bit Growthは需要通りの成長(前Qから見通し変化なし)
さらにMicronは176層NANDフラッシュのランプアップも計画通り順調であるとコメントしています。

Micron 事業部別の売上

続いて、事業別の売上です。Micronは4つのエンドマーケット毎に事業部を区別しています

・Compute and Networking (CNBU)
→PC・サーバー向けメモリ
・Mobile Business Unit(MBU)
→スマホ向けメモリ事業部
・Storage Business Unit(SBU)
→SSD、スポット市場向けウェハ外販ビジネスなど
・Embedded Business Unit(EBU)
→コンスマー、ゲーム、車載向けメモリー、産業機器など

Micronの各事業部ごとの四半期の売上推移は下記のようになっています。

やはり、スマホがシーズナリティの影響で弱いです。YoYで比較しても+4%に留まっていますので、昨年の5Gスマホ需要の急速普及の恩恵の反動が来ているのでは、と思います。Micronによると、特に中国市場が弱いとのことです。

We see some weakness in the China market as the local economy slows, smartphone market share shifts and some customers take a more prudent approach to inventory management. 引用 – Micron Fiscal Q2 Earning Call Prepared Remarks

一方で、PC・データセンターはYoY +31%と好調です。PC市場は出荷台数は昨年比横ばいであるものの、搭載されるメモリ容量が増えることでMicronも増収の恩恵を受けるとしています。特にDDR5への移行はDRAM単価上昇につながるのでプラスでしょう。

Calendar 2022 PC unit sales will be flattish versus last year’s sales, but we expect solid growth in DRAM and NAND content … We are leading the industry’s client DDR5 transition, and our DDR5 revenue continues to increase as multiple PC customers launch next generation notebooks. 引用 – Micron Fiscal Q2 Earning Call Prepared Remarks

さらにデータセンターは昨年メモリ半導体市場においてスマホを超す最も大きな市場となりました。今後も企業のクラウド・エンタプライズIT投資を背景にデータセンター市場向けのメモリ需要はメモリ市場の平均成長率を上回るペースで成長が見込まれているとコメントされています。さらにMicron自身はデータセンター市場向けに最新鋭の1αnmのDDR5と176層 NANDを積んだSSDを投入しているとしています。

Last year, data center became the largest market for memory and storage, eclipsing the mobile market. Looking ahead, we expect data center demand growth to outpace the broader memory and storage market over the next decade, fueled by secular drivers in cloud and healthy enterprise IT investment 引用 – Micron Fiscal Q2 Earning Call Prepared Remarks

2022年 CAPEX

Micronは2022年のCapexを$11B – $12Bとしています。

We continue to expect fiscal year 2022 capex to be in the range of $11 billion to $12 billion — with the capex being roughly even between the first and second half of fiscal year. 引用 – Micron Fiscal Q2 Earning Call Prepared Remarks

SEMIによると半導体の設備投資は今年2022年も旺盛で、過去最高額を更新するらしいです。

ファブ装置投資、2022年は過去最高の1070億米ドル
SEMIは、半導体前工程製造装置(ファブ装置)への投資額を発表した。これによると、2022年は過去最高の1070億米ドルに達すると予測した。2021年に比べ18%の増加で、2020年より3年連続の成長となる。

MicronやSamsung、SK hynixやKioxiaといったメモリメーカーが占める設備投資額は全体の35%と非常に大きな規模となっています。

投資額を分野別にみると、その構成比率はファウンドリ関連が約50%、メモリ関連が35%である。生産能力の増加分もこの2分野が大半を占めることになる。
引用 – EEタイムズ『ファブ装置投資、2022年は過去最高の1070億米ドル』

個人的に今後MicronもEUVをDRAMに適用するというニュースに期待しています。

Micron、台湾工場でのEUVによるDRAM量産を計画、台湾メディア報道
Micron Technologyのグローバルオペレーション担当エグゼクティブバイスプレジデントであるManish Bhatia氏が、2024年に台湾のDRAM量産ファブにてEUV露光装置を導入する計画をプレスイベントにて語ったと、複数の台湾メディアが報じている。

まとめ

以上、メモリ半導体大手のMicronによるFY22 Q2決算発表の解説でした。以下に記事のポイントを纏めとしてもう一度記載します。

・売上QoQ +1% / YoY +25%、高い利益率を維持
・来期GuidanceもQoQ +11.7% / YoY +17%
・製品別ではDRAMはASP下落、反対にNANDは上昇、SSD製品Mixが寄与
・事業部別ではサーバーが強い。スマホはやや減速?中国市場の鈍化を示唆
・部材や輸送費などの高騰によるコスト上昇を示唆、一方で1znm/1αnmDRAMや176層NANDでコスト競争力を向上し、高い収益率は安定
・非メモリ半導体不足は解消に向かっていることを示唆、顧客の最終製品生産が可能になり汎用品であるメモリ半導体の出荷には好影響
以上です、ありがとうございました。

 

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