Micron 2021年 FQ3決算まとめ

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半導体メモリ大手のMicron(マイクロン / NASDAQ: $MU)の2021年FQ3 (3月ー5月期)の決算発表がリリースされました。

本記事ではMicronの決算と共に、DRAMおよびNANDという汎用メモリ半導体市場の現時点での見通しを解説してまいりたいと思います。なお、Micronの決算年度は8月末締めなので今回のFQ3=CQ2(2021年3月-5月期)の業績となります。

【この記事のポイント】
・PCやクラウド投資、ゲーム・グラフィックなどが牽引し今期も好決算
売上: $7,422M … QoQ +19% / YoY +36.4%
→Gross Margin: 43% … QoQ +10ppt / YoY +10ppt
→営業利益率: 32% … QoQ +12ppt / YoY +14ppt
・DRAMは引き続き好調(ASP QoQ+20%)、さらにNANDの平均単価も上昇開始
→本格的なサイクル入りか

・2024年からDRAMにEUV適用を開始、ASMLに発注を開始
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Micron(マイクロン) Q3決算結果

MicronのQ3決算結果は下記のようになりました(いずれもnon-GAAP)。

【Q3 決算結果】
売上
: $7,422M … QoQ +19% / YoY +36.4%
Gross Margin: 43% … QoQ +10ppt / YoY +10ppt
営業利益率: 32% … QoQ +12ppt / YoY +14ppt
EPS(Diluted): $1.88 … QoQ +92% / YoY +129%
一般のメディアで半導体不足が騒がれてから半年くらい経っていますが、半導体業界は好調です。実はメモリ半導体は出遅れ感があって、DRAMが2020年末頃から値上がりが始まり、NANDはついこの前まで下落基調が続いていました。しかし、ついにNANDのASPも値上がりが始まったようでいよいよ本格的にMicronを始めとする大手汎用メモリメーカーの業績も本格的な好サイクルに入り始めたという感じです。
四半期ごとの業績(売上・粗利率・営業利益率)の変化をグラフにしました。なおグラフのQ1=カレンダーイヤーのQ1ですのでMicronの決算年でいうとQ2になることに注意です。

メモリ品種別および事業部別の決算結果

Micronの売上をそれぞれメモリ品種別(DRAM・NAND)と事業部別(PC&Server・Mobile・SSD・Embedded)に分けて見てみます。

DRAM・NANDともに増収です。特にDRAMの売上の伸びが素晴らしいです。データセンター向けの投資復活とPC需要が追い風になっているようです。しかもまだ6月末ですのでこれからスマホ新機種の作り込みシーズンが始まる事を考えるとまだまだアップサイドが期待できます。

事業部別でみても全てのセグメントでQoQ/YoYの増収を達成しています。特に稼ぎ頭のPC/ServerとMobileが好調です。詳しくは後述しますがやはり好調なPC需要とクラウド・データセンター投資、そして5Gスマホが追い風となっています。また、Embeddedには車載事業が含まれますがMicronの車載ビジネスは3期連続で過去最高売上高を記録しています。

 

Micron Q4 Outlook

MicronのFQ4(6月ー8月期)のOutlookです。カレンダーイヤーでいうとQ3に相当しますが、この時期はスマホの作り込みの時期とちょうど重なるのでメモリメーカーが最も稼ぎやすいのです(メモリの需要の大半はPC・サーバー・スマホから来ている)。NANDの価格上昇も始まったばかりなので、Micronの好業績サイクルはまだまだ始まったばかりだと筆者は考えています。

【Q4 Outlook】
売上
: $8B – $8.4B
Gross Margin: 46% – 48%
EPS: $2.2 – $2.4
2021年Capex: $9B→$9.5Bへ上方修正

DRAMの市況考察

まずはDRAMです。DRAMはメインメモリ等に使用されるメモリ半導体です。現在は韓国のSamsung Electronics・SK hynix・Micronの3社寡占市場となっています。

DRAM Industry Outlook

Industry OutlookはMicron以外のDRAMメーカーを含む一般的なDRAMの需給バランスなどの市場環境です。Micronは引き続きDRAM市場について下記の様に供給不足が来年も継続すると見ているようです。

・2021年のDRAM需要はBit換算で +20%成長
・DRAM供給不足は2022年を通じて継続

Micron DRAM Outlook

続いてMicron自身のDRAM事業に関する部分です。

・Micron Q2 DRAM売上は$5,448Mで売上比重は全体の73%
・DRAM売上増加率は QoQ +22% YoY +52%
・Bit出荷はQoQで一桁%前半の増加、ASPはQoQ+20%
・1αnm世代の生産量が拡大中、2021年末を目処に現行の1znmを置き換える
・下期からDDR5の出荷開始
2024年を目処にDRAMにEUVを適用開始、すでにASMLへEUV露光装置の発注

We plan to insert EUV into our DRAM roadmap starting in the 2024 time frame. Micron has placed purchase orders for multiple EUV tools from ASML as part of a long-term volume agreement. The pre-payments for these systems will contribute toward the FY21 and FY22 CapEx. We have increased our FY21 CapEx to be somewhat above $9.5 billion, mostly from areas that do not impact CY21 and CY22
引用 Micron Q3 Prepared Remarks

NANDの市況考察

続いてNANDです。NANDはSSDなど、データを長期で記憶する際に使われるメモリ半導体です。Samsung・SK hynix・Micronに加えてWD・Kioxia・Intel(SK hynixが買収予定)・その他中華新興メーカーなどプレーヤーが比較的多い事業環境にあります。

今回の決算のポジティブサプライズの一つに、NANDの価格上昇が急激に始まったということが挙げられると思います。昨年末頃から、『NANDは2021年下期から値上がりが始まるだろう』と言われていたのですが、予想以上にNANDの上昇時期が早まり、さらに上昇度合いがとんでもない事になっているのを私自身、日々の業務で感じております

Micron Q3 NAND
・Micron Q3 NAND売上は$1,812Mで売上比重は全体の24%
NAND売上増加率は QoQ +10% YoY +9%
・Bit出荷はQoQで一桁%前半の増加、ASPはQoQで一桁後半の上昇
→NAND価格上昇開始

WSTS(世界半導体市場統計)もつい最近、半導体出荷額の上方修正をしたばかりでその多くをメモリーが貢献していました。詳しくは筆者の下記過去記事を御覧ください。

WSTSによる2021年春季の半導体市場規模予測
WSTS(世界半導体市場統計)が2021年春季の半導体市場予測を発表しました。それによると2021年の半導体市場は72億と過去最高学を更新します。半導体不足が取り沙汰されていますが、メモリ半導体の価格上昇寄与が大きいです。一方で半導体ファウンドリの供給不足により出荷ができず下方修正された品種もあり注意が必要です。

NAND Industry Outlook

DRAM同様、Micron以外のNANDメーカーを含む一般的なNANDの需給バランスなどの市場環境です。MicronはNAND市場環境を下記のように見ています。注目すべき点は前回の決算までは2021年を通してNANDの供給はやや過剰気味であるとしていた見方が今回から供給不足へ転じたという点です。

・2021年のNAND需要はBit換算で +30%台中盤の成長
NAND供給は供給過剰から供給不足へ突入→2022年を通じて供給不足継続
・長期のNAND市場需要成長はCAGR +30%中盤

Micron NAND Outlook

続いてMicron自身のNAND事業に関するコメントです。

・Micronの中長期NAND供給増加率はNAND市場需要増加率と同程度 (+30%台)
・176層NANDを使ったUFS3.1をモバイル向けにサンプル中
・インフォテイメントなど車載向けeMMCの出荷が好調

事業部市況考察

つづいてMicronの事業部別の決算結果からそれぞれの市況について考察します。Micronは事業部を下記の4つのセグメントに分類しています。

・Compute and Networking (CNBU)
→PC・サーバー向けメモリ事業部
・Mobile Business Unit(MBU)
→スマホ向けメモリ事業部
・Storage Business Unit(SBU)
→スポットマーケット向けなどのSSDやNAND/DRAMコンポーネント
・Embedded Business Unit(EBU)
→コンスマー、ゲーム、車載、産業機器など

Compute and Networking (CNBU)

CNBUの売上は$3,304MでQoQ +25%、YoY +49%の成長でした。当事業部では一般消費者向けのPCに使われるメモリーやデータセンターに使われるサーバーメモリの売上が含まれます。

CNBUはCloud投資によるサーバー需要と強いPC需要を追い風に好業績となりました。特にデータセンター向けの売上は今年の下期からさらにもう一段アップサイドがあるようです。

Mobile Business Unit(MBU)

CNBUの売上は$1,999MでQoQ +10%、YoY +31%の成長でした。当事業部では主にスマートフォン向けに使用されるメモリーが対象になります。

2021年は5G対応機種のスマホ出荷台数が5億台を超える見通しとなっているようです。5Gスマホはより多くのDRAMを使用すると言われており、Micronなどメモリメーカーにとってはポジティブです。さらに5Gの普及によりより高画質の動画やモバイルゲームなどコンテンツのデータ量が増えることで内蔵ストレージの搭載容量も上がることが考えられますのでNANDにとっても追い風となるでしょう。

Storage Business Unit(SBU)

SBUはリテール向けのSSDなどです。Crucialなどのブランドで販売していますね。自作PCを作る人やメモリやSSDを増設する人などが小売店で買う部分の売上です。

あんまり重要ではないのですが、これらのメモリの価格はスポット価格という指標に使われるのでメモリのスポット価格の見方を覚えておくと良いと思います。

DRAM eXchangeとメモリ半導体価格
台湾Trend Forece社のDRAM eXchangeでメモリ半導体のスポット価格情報を参考に半導体業界の市況を知る方法を解説。Samsung(サムスン), Kioxia(キオクシア), Micron(マイクロン), SK hynix(ハイニックス)など大手半導体メーカーの動向やニュースを知るのに役立つ。

Embedded Business Unit(EBU)

EBUは家電などのコンスマー、プレステやXboxなどのゲームコンソール、産業機器向け、車載向けメモリの売上が含まれている市場となります。

EBUの売上は$1,105MでQoQの成長率は+18%でYoYは+64%となりました。プレステやXboxといったゲーム機向けのメモリーの販売と、仮想通貨マイニングで使われるグラフィックボード向けのメモリが好調だったようです。

車載ビジネスもここに含まれており、具体的な数字は書いてありませんが、3期連続で史上最高額を記録したようです。

まとめ

以上、米国メモリ半導体大手MicronのFQ3決算結果のまとめでした。

昨今の半導体不足の波に乗り、Micronは好業績を連発しています。特に昨年末から値上がりが始まっていたDRAMに加えてNANDの供給不足も鮮明になり、価格が上昇に転じました。これはメモリメーカーにとってポジティブサプライズです。メモリ不足は2022年を通して続くという見方をしており、まだまだ好業績サイクルは始まったばかりと考えられます。

個人的には(ASMLホルダーとして)ついにDRAMにEUVの適用を表明したことが嬉しい限りです。半導体のCapexは波がありますが、EUVはロジックのスケーリングに加えてDRAMにも適用が始まったばかりですので長期で注目したいところです。

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